書誌: 禁煙科学,2010
満石寿, 藤澤雄太, 前場康介, 竹中晃二. (2010). 禁煙科学 4巻, 01-P1
要 旨本研究の目的は、禁煙に伴う離脱症状および喫煙衝動を簡便に評価することが可能である MPSSを邦訳し、短時間の断煙によって生じる離脱症状および渇望、喫煙衝動の評価を行うことを通してその信頼性と妥当性を検討することであった。邦訳した MPSSの内的整合性を検討するため Cronbachのα係数を算出した結果、項目全体において比較的高い信頼性係数が得られた.基準関連妥当性の検討には、禁煙に伴う離脱症状および渇望を評価することが可能であり、 MPSSに質問項目が類似したMNWSを用いて、それぞれの項目の相関関係を算出した。その結果、「喫煙衝動の頻度( MPSS)」と「渇望(MNWS)」との間、「喫煙衝動の強さ( MPSS)」と「渇望(MNWS)」の間では強い正の相関が認められた。離脱症状とされている「抑うつ感」、「いらいら感」、「落ち着きのなさ」、「集中力の欠如」では MPSSとMNWS との間に強い相関、「空腹感」では MPSSとMNWS との間に中程度の相関が認められた。以上の結果より、邦訳した MPSSにおいて離脱症状および喫煙衝動が十分に評価できることが示唆された。 キーワード:離脱症状、渇望、喫煙衝動、 MPSS 、 MNWS