書誌: 行動療法研究 , 2010
田上 明日香, 伊藤 大輔, 大野 真由子, 白井 麻理, 嶋田 洋徳, 鈴木 伸一. (2010). 行動療法研究, 36(2),95-106. 要 約 本研究の目的は、うつ病の治療において、うつ症状とともに評価が必要とされている社会的機能に着目し、うつ症状と社会的機能に関連する心理的要因を明らかにすることである。単極性のうつ病と診断された 66名を対象に、自動思考尺度( ATQ-R )、対処方略尺度( TAC)、ソーシャルスキル尺度( KISS)、うつ症状尺度(BDI- II)、社会適応状態尺度( SASS)を実施した。その結果、うつ症状に対しては、“自己に対する非難”が関連していたが、社会適応状態には“肯定的思考’ Pと“肯定的解釈と気そらし”“社会的スキル”が関連しており、うつ症状と社会適応状態では関連する要因が異なることが示唆された。これらのことから、うつ病患者への支援においては、うつ症状だけでなく社会適応状態に関連する要因を検討する必要性が議論され最後に本研究の限界について述べられた。キーワード:社会的機能 社会適応状態 職場復帰 心理的要因 うつ病患者