書誌:Depression Frontier,2011
Depression Frontier , 2011 Vol.9 No.2, P66 ~ 71
今井正司 (Shoji Imai)熊野宏昭 (Hiroaki Kumano)
本稿は,抑うつ症状に対して認知行動療法(CognitiveBehaviorTherapy:CBT)を行ううえで重要な変数となる注意制御機能の特徴について概括し,注意制御機能を向上する技法(注意訓練;AttentionTraining:ATT)をCBTに取り入れることの有用性について論じた。ATTが CBTの効果を増強する作用については,CBTの妨害要因である「反証しようと思ってもネガティブなことに気がいってしまう」という受動的注意制御と,確証型認知的対処の問題を改善する効果を ATTが有していることについて,実証研究を紹介しながら論考した。